親が自分でお金を引き出せなくなったとき、子どもが親の預金口座からお金を引き出して、親の医療費や介護費用などを支払うことがあります。
親のお金を引き出すと、贈与税がかかるのでは、という不安をもつ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
贈与はあげた人ともらう人の合意が必要
贈与は、財産をあげる人が財産をあげます、財産をもらう人が財産をもらいます、という双方の合意があるものです。
親の費用を支払うために、子どもが親のお金を引き出したという場合は、親が財産をあげた、子どもが財産をもらったという合意はないでしょう。
財産をあげた、財産をもらったという合意がなければ、贈与にはなりません。
贈与ではなく、子どもが親のお金を預かった、ということになります。
贈与ではないので、贈与税がかかることはありません。
引き出したお金と使ったお金の記録を残しておく
親のお金を引き出すときは、親の口座から引き出したお金と、そのお金を使った記録を残しておきましょう。
子どもが、親のお金を引き出していて、何に使ったのか不明な場合、後々、相続人の間でもめる原因になります。
親の費用の支払いに使っていたとしても、それが説明できないと、他の相続人は納得せず、疑心暗鬼になります。
記録を残しておき、他の相続人に説明できるようにしておきます。
相続がおきたとき、預かったお金は相続財産
贈与だと、親から子どもへ財産が移ります。
子どもがもらった財産は、子どもの財産です。
一方、子どもが親から預かったお金は、親の財産のままです。
相続がおきたときは、子どもが預かっていたお金は、親の相続財産です。
親のお金を引き出して、そのお金で親の費用を支払っていたとき、余ったお金は親の相続財産になります。
相続がおきたとき、相続人の間で、相続財産を誰が何を相続するのかを話し合います。
誰が何を相続するのかを話し合うことを遺産分割協議といいます。
親から預かっていたお金も、遺産分割協議をする相続財産になります。
また、相続税の申告が必要な場合は、相続財産としてもれないように注意が必要です。