相続した財産を寄付した場合、寄付した人の税金が少なくなる場合があります。少なくなる税金は、相続税と、所得税・住民税です。
税金が少なくなるのは、どのような場合なのか、ご紹介します。
相続税がかかる寄付、かからない寄付
相続財産の寄付とは、亡くなった方の相続財産の一部を、相続人の方が寄付することです。
相続財産の流れは、亡くなった方→相続人→寄付先 になります。
相続した財産を寄付したとき、どこへ寄付しても、非課税(相続税がかからない)、というわけではありません。
相続税が非課税になる寄付は、一定の法人へ寄付したときです。
一定の法人とは、認定NPO法人、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人、学校法人(私立学校は一定の場合)など。
一定の法人に該当しない法人への寄付は、相続税は非課税になりません。
相続税が非課税というのは、相続税の対象となる財産から外せる、ということを意味します。
相続税は、亡くなった人の財産にかかる税金です。
寄付した財産が相続税の対象となる財産から外れる
↓
相続税の対象となる財産がその分少なくなる
↓
相続税が少なくなる
ということになります。
また、寄付をした相続人だけが、相続税が少なくなる、というわけではありません。
寄付をしなかった相続人の相続税も少なくなります。
手続きには時間がかかるので早めに動く
一定の法人へ寄付しても、寄付した財産に相続税を非課税にするためには、手続きが必要です。
その手続きとは、寄付した法人から、税務署へ提出する書類を発行してもらうことです。
税務署へ提出する書類は、寄付した財産の受領書と、その法人が相続税の非課税の適用を受けることができる法人であるという証明書です。
書類を発行してもらうのは時間がかかるので、相続財産を寄付するときは、早めに動き始めることをお薦めします。
なぜなら、相続税の申告期限までに、書類を準備する必要があるからです。
相続税の申告期限は、亡くなった日から、10か月です。
10か月は長いように感じますが、相続税申告の準備を始めたときは、亡くなったときから4〜5ヶ月経っていたりします。
そうすると、申告期限まで、時間の余裕がなかったりします。
また、寄付を受けた法人が、すぐに、書類を出してくれなかったりします。
寄付を受けた法人が、相続財産の寄付を受けることに慣れていなくて時間がかかったり、また、その法人が別のところに依頼しなくてはいけなかったりします。
以前、学校法人へ相続財産を寄付した相続人がいらっしゃいました。
相続財産の寄付を受けた学校法人の事務の方にとっては、相続財産の寄付は初めてのことのようでした。
まず、発行してほしい書類を理解して頂くのに、時間がかかりました。
そして、学校法人なので、文部科学省に証明書を発行してもらう必要がありました。
学校法人の手続き→文部科学省の手続き→学校法人の手続き、を経てやっと、相続人のもとに書類が届くので、時間がかかりました。
相続人の所得税・住民税からも控除ができる
相続人が、相続財産から寄付をした場合、相続人自身の所得税・住民税からも控除することができる場合があります。
相続税が非課税となる寄付は、相続人の所得税・住民税から控除できる寄付、にも該当します。
相続人の所得税・住民税から控除するためには、相続人が所得税の確定申告をして、書類を添付する必要があります。
必要な書類は、相続税の申告をしたときに税務署へ提出した書類と同じです。
相続税の申告をするときは、書類のコピーをとっておきましょう。
所得税の確定申告のときは、コピーを添付すれば大丈夫です。
【あとがき】
昨日の夜は、Schooを視聴。社会人で積極的に学んでいる人がこんなにいるなんて。いい刺激になります。