不動産賃貸業の個人の方が、店舗や事務所の賃貸ビルを売ったとき、翌年、消費税の中間納付額が多くなることがあります。
中間納付で多く納税していたときは、確定申告をすることによって、多く納税していた税金は戻ります。しかし、中間納付をするときの資金繰りが厳しくなります。
そんなときは、仮決算をすることも考えてみましょう。
売った年とその翌年が消費税の課税事業者
今回の話の対象となる方は、店舗や事務所の賃貸不動産を売った年(X1年)と、翌年(X2年)が、消費税の課税事業者の人です。
不動産賃貸業の個人の方が、税負担を減らすため、法人を設立して、その法人に賃貸不動産の建物を売却することがあります。
税金の負担がどれくらい減るのかのシュミレーションはしますが、翌年の資金繰りのことが抜けていることもあります。税務署から消費税の納付書が届いてから慌てる、ということがないようにしましょう。
翌年の消費税の中間納付が大きくなる
建物を売ったので、売った年分(上図でいうとX1年分)の消費税の納税額は、前年より多くなります。店舗や事務所の賃貸収入に、建物の売却収入の消費税もあるからです。
となると、建物を売却した翌年(X2年)の中間納付も多くなります。
消費税の中間納付の方法は、2つあります。通常は、前年実績による方法をとります。
税務署から送られてくる納付書は、前年実績による方法で計算されています。
これは、前年分の消費税の納付額を、月割りして納付する方法です。
前年分の消費税の納税額が多いと、翌年の中間納付の金額も大きくなります。
前年に店舗や事務所の賃貸建物を売っているので、賃貸収入が減っているのに、前年より多い中間納付を支払うことになります。
仮決算をすることを検討
前年実績による中間納付の金額が大きくて資金繰りが厳しいときは、消費税の中間納付のもう1つの方法をとることを検討します。
もう1つの方法とは、仮決算をする方法です。
中間納付が1回の人は、1月から6月の期間で、確定申告のときと同じように消費税を計算します。
仮決算の方法で計算した金額が、前年実績による方法の金額より少なければ、少ない方の金額で納付できます。(還付はありません)
前年実績による方法と、仮決算の方法と、最終的には消費税の納税額は同じ。
先に多く払って後で戻してもらうか、最初から今年ベースの納税にするかです。
仮決算の方法の難点は、
- 手間がかかること(申告をしなくてはいけない)
- 税理士に申告を依頼している場合は、追加の報酬がかかるかもしれない
資金繰りと、上記の難点をふまえて、どちらの方法をとるかを選択します。
また、中間納付が年3回の人は、回数ごとに、前年実績による方法か、仮決算の方法かを選べます。
5月末納付(1月〜3月分)のときは、前年実績による方法で納付したけど、8月末納付(4月〜6月分)は、仮決算の方法をとる、ということもできます。
【あとがき】
会計ソフトのアプリを使って、レシートをスキャンしたのですが、OCR認識ができなくなりました。
先月は上手くできたのに。