相続したけど価値を感じにくいもの

タダで使っているものは、人からもらっても、ありがたみは感じにくいものです。

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自宅を相続するか、預金を相続するか

お父様が亡くなり、相続人は配偶者、息子、娘という相続税の申告でした。相続財産は、自宅の不動産と預金。娘さん夫婦がご両親の自宅に同居していました。

遺産分割協をして、娘さんはお父様名義だった自宅不動産と預金の一部、息子さんは預金のほとんどを相続しました。

相続前と状況が変わらないものは価値を感じにくい

相続税申告や名義変更手続きなど相続の手続きが一通り終わった後のことです。
娘さんは、相続で自分に入ったお金が考えていたより少ない、と感じたようです。

息子さんと娘さんで、相続財産がほぼ同じになるように分割していました。

娘さんは、不動産を相続しているので、実勢価格よりかなり低い金額で相続しています。
預金1億円は、相続税の計算では1億円と評価されます。
一方、実勢価格1億円の土地は、相続税の計算では、その8割ぐらいになるように設定されています。
(もちろん、土地は個別性が高いので、相続税の計算で8千万円と評価された土地が、8千万円以上で売却できるとは限らないのが難しいところです。)

さらに、亡くなったお父様と同居していたので、相続税の評価額を下げる特例を使うことができました。特例を使うと土地の実勢価格よりかなり低い価額になります。例えば、実勢価格1億円の土地が1,600万円になります。

でも、娘さんは、お父様が亡くなる前から住んでいた自宅を相続したとしても、相続前と状況は変わりません。実勢価格1億円の不動産を1,600万円で相続できたと言われても、今までタダで住んでいた自宅なので、得した気にはならないのでしょう。
また、自宅を売る予定がなければ、実勢価格1億円だったとしても意味がないかもしれません。

一方、息子さんは預金をもらっています。手に入らない1億円より、預金の方に価値を感じてしまうようです。

後からあれ?と思わないために

相続はよくあることではないので、相続人の方は、相続の手続きや相続税の申告に戸惑うことが多いです。銀行や税理士が話していたことが、実は理解できていなかった、ということもあります。

よく理解できないまま遺産分割協議をすすめ、後からそんなつもりではなかったのにと思っても、取り返しがつきません。

相続の手続きや相続税の申告では、相続人の方が、何を優先したいのかを考えることが大切です。
また、理解できないときはそのままにせず、税理士など専門家に確認してみましょう。

【あとがき】
近所のお気に入りのイタリアンのレストランで、パスタをテイクアウトしました。新型コロナウィルスの影響で、来週から休業になるそうです。今月末には、テイクアウトをメインに、再開する予定という話しを聞いて、少し安心しました。

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