特定口座の株式譲渡損失を他の特定口座と損益通算するときの注意点

一方の特定口座では譲渡損失があり、一方の特定口座では譲渡益がある場合、確定申告をすることによって、譲渡損失と譲渡益を損益通算することができます。
確定申告するときは、どこまで申告するのか、注意が必要です。

目次

譲渡損失がある特定口座は、株式配当、特定公社債利子も申告する

下記の例を見てみましょう。

特定口座A(源泉徴収あり)
ア 譲渡損失がある ← 特定口座年間取引報告書の「譲渡にかかる年間取引損益及び源泉徴収税額等」の③差引金額に△がついている
イ 株式配当がある ← 特定口座年間取引報告書の「特定株式配当等」の⑨合計に金額がある
ウ 特定公社債利子がある ← 特定口座年間取引報告書の「上記以外のもの」の⑮合計に金額がある

特定口座B(源泉徴収あり)
エ 譲渡益がある ← 特定口座年間取引報告書の「譲渡にかかる年間取引損益及び源泉徴収税額等」の③差引金額に金額がある
オ 株式配当がある ← 特定口座年間取引報告書の「特定株式配当等」の⑨合計に金額がある
カ 特定公社債利子がある ←特定口座年間取引報告書の「上記以外のもの」の⑮合計に金額がある

特定口座Aのア譲渡損失と、特定口座Bのエ譲渡益を損益通算するために、確定申告をします。
特定申告Aは、アを確定申告するためには、イ、ウも必ず確定申告をする必要があります。

なぜなら、特定口座Aの中で、ア、イ、ウは損益通算して、源泉徴収税額が計算されているからです。

譲渡益がある特定口座の配当、特定公社債利子は申告するか選べる

一方、特定口座Bはどうでしょうか?

特定口座Bのエ譲渡益は、特定口座Aのア譲渡損失と、損益通算するので申告します。

オ株式配当と、カ特定公社債利子は、それぞれ、確定申告をするのかしないのか、選択できます。
ただし、オの一部だけを申告、カの一部だけを申告する、ということはできません。

国民健康保険・後期高齢者医療保険料を支払っているときは注意する

どこまで申告するのか考えるのが面倒なので、ア〜カをすべて申告したとしても、税金は変わりません。
(分離課税で申告した場合)

気をつけるのは、国民健康保険保険料、後期高齢者医療保険料を支払っている方です。
特定口座Bのオ株式配当、カ特定公社債利子を申告することによって、保険料を計算する所得が多くなり、保険料が上がることもあります。

譲渡損失のマイナスをゼロに近いところにもっていける、ちょうどいい株式配当・特定公社債利子の金額があるときはいいのですが、株式配当や特定公社債利子を申告すると、かなり所得があがってしまうときは、確定申告をしない、または、所得税と住民税の課税方法を変えるという手段も考えましょう。

【あとがき】
明日はピアノコンサートを聴きに行く予定でしたが、ピアニストの来日が中止になり、コンサートがなくなりました。4月にも、1つ、室内楽のコンサートのチケットをとっています。開催されるといいのですが・・・。

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