不動産を売った翌年にかかるお金

5月〜6月にかけて、お住まいの市区町村から「住民税」や「国民健康保険料」「後期高齢者医療保険料」の通知が届きます。
前年に不動産を売却された方は、これらの金額が大きく上がるケースがあり、通知書を見て驚かれる方も少なくありません。
不動産の売却からしばらく時間が経ったあとに通知が届くため住民税や健康保険料の増加を見落としがちです。
売却の際には、所得税だけでなく、住民税や健康保険料の影響も含めて把握しておくことが大切です。

住民税

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税と住民税が課税されます。
このうち、所得税は確定申告時に納付しますが、住民税は確定申告の内容に基づいて、市区町村が計算・通知を行い、5〜6月頃に納付書が届きます。

譲渡所得にかかる税率(所得税+住民税)は、合計で約20%(所有期間5年以上)です。
このうち住民税の税率は5%です。
通知書には、通常の所得(給与や年金など)に対する住民税と、不動産売却による住民税の合計額が記載されるため、前年と比べて大きく増加する場合があります。

健康保険料

不動産売却による所得増加は、翌年の健康保険料にも影響します。ただし、影響の有無は、加入している保険制度によって異なります。

■ 勤務先で加入の場合
→ 給与に応じて保険料が決まるため、不動産の売却益は影響しません。

■ 国民健康保険・後期高齢者医療保険の場合
→ 前年の所得を基に保険料が計算されるため、譲渡所得があると保険料が上がる可能性が高くなります。
「前年より何倍も高くなった…」というお声を耳にすることもあります。

  • 国民健康保険料は、4月~翌年3月分を、原則6月~翌年3月にかけて支払います。
  • 後期高齢者医療保険料は、納付書や口座振替(普通徴収)の場合、7月~翌年3月にかけて支払います。
  • 年金から天引き(特別徴収)の場合は、10月分の年金から金額が変更されるケースが一般的です。

医療費の自己負担割合が変わることがあります

さらに、保険料だけでなく、病院などでの自己負担割合が上がることもあります。70歳以上で現在1割または2割負担だった方が、3割負担になるケースもあります。

この自己負担割合の見直しは、不動産を売却した翌年の8月1日から翌々年の7月31日までの1年間に反映されます。

売却後の支出計画には保険料の増加も忘れずに

「不動産を売却すれば税金がかかる」という点は多くの方がご存じですが、健康保険料や医療費負担の増加については見落とされがちです。
売却収入を住宅のリフォームや旅行などの大きな支出に充てたあとに、保険料の増加を知り困ったというお話をきくこともあります。

不動産を売却する際には、後で困ったとならないように、以下のような出費も見積もっておきましょう。

  • 不動産売却に関する税金(所得税・住民税)
  • 健康保険料の増加
  • 医療費の自己負担割合の変動
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