上場株式の売却損を繰り越せるのは、売却損が生じた年から3年です。
確定申告をして税金を少なくするときは、社会保険への影響も考えましょう。
損失を繰り越せるのは3年
上場株式の売却損を繰り越せるのは、売却損が生じた年から3年です。
損失を繰り越すためには、売却損失が生じた年から毎年確定申告をする必要があります。
2020年分(令和2年分)の確定申告で繰り越せるのは、2017年(平成29年)以降に生じた損失です。
例えば、株式の取引内容が以下のようだった場合、
2017年分(平成29年分)の売却損失 100万
2018年分(平成30年分)の売却損失 50万
2019年分(令和元年分)の売却損失 30万
2020年に上場株式を売却し、80万円の利益が出た
2020年の売却利益80万を、2017年分の売却損失100万と相殺し、利益をゼロにすることができます。特定口座(源泉徴収あり)の場合、80万円の売却利益に対し源泉徴収されていますから、確定申告をして源泉徴収された税額の還付を受けることができます。
損失を繰り越せるのは3年です。相殺しきれなかった金額は切り捨てになります。
上記の場合、2020年の売却利益80万に対し、2017年分の売却損失100万ですから、20万円は切り捨てになります。20万円を2021年に繰り越すことはできません。
古い年分の損失から相殺する
損失は、古い年分の損失から相殺していきます。
2020年に上場株式を売却し120万の利益が出た場合、
まず、120万円の利益を2017年分の売却損失100万 に充て、
次に、2018年分の売却損失50万のうち、20万に充てます。
2018年分の損失の残り20万円は、2021年に繰り越すことができます。
国民健康保険、医療費の窓口負担が増える場合も
繰り越してきた損失と売却利益を相殺するため確定申告すると、税金が戻ったり少なくなったりしますが、社会保険料に影響が出る場合があります。
個人事業主や年金生活者の場合です。
上場株式の売却利益を確定申告することにより、
- 国民健康保険料または後期高齢者医療保険料が上昇する
- 医療費の窓口負担が上昇する
ことがあるのです。
還付されるまたは減少する税金より、保険料の増額の方が大きい場合もあります。
国民健康保険料、後期高齢者医療保険料は、住民税の課税所得をもとに決まります。
保険料が上昇してしまう場合は、市民税・県民税申告書を提出し、住民税では上場株式の売却利益を申告しない、という方法もあります。
税金だけでなく、社会保険料に影響するのか確認してみましょう。
【あとがき】
先週土曜日は、王子ホールのニューイヤーコンサートへ行ってきました。室内楽なので指揮者がいませんが、それぞれの楽器の演奏がバラバラになることがありません。もちろん演奏者の技術がすばらしいからだと思いますが、指揮者って必要なのかなと感じました。そういえば以前、指揮者のいないオーケストラに学ぶというビジネス書が話題になっていたような。