会社を閉じるときは、「解散」と「清算」という手続きが必要になります。
最近では、会社をつくるときに合同会社を選ぶ方が増えてきました。税金の計算や税務手続きについては、株式会社と合同会社でほぼ違いはないため、通常は意識することがありません。
しかし、合同会社をたたむときには、事業年度の扱いに違いがあるので、注意が必要です。
株式会社を解散・清算するときの事業年度の区切り方
株式会社が年の途中で解散した場合、事業年度は以下のように区切られます。
- 事業年度開始の日から解散した日までが、解散事業年度になります。
- 解散日の翌日からは、1年間ごとに区切って清算事業年度になります。
- 残余財産の確定日が清算事業年度の終了日になります。
例A:解散から残余財産確定の日まで1年以上かかった場合
- 事業年度:1月1日~12月31日
- 解散日:X年11月30日
- 財産の確定:X+1年12月15日
- 解散事業年度 X年1月1日〜X年11月30日
- 清算事業年度 X年12月1日〜X+1年11月30日
- 清算事業年度 X+1年12月1日〜X+1年12月15日
例B:解散から残余財産確定の日まで1年以内で終わった場合
- 事業年度:1月1日~12月31日
- 解散日:X年11月30日
- 財産の確定:X+1年2月15日
- 解散事業年度 X年1月1日〜X年11月30日
- 清算事業年度 X年12月1日〜X+1年2月15日
合同会社を解散・清算するときの事業年度の区切り方
合同会社が事業年度の途中で解散した場合、こちらは少しルールが違います。
- 事業年度開始の日から解散日までが解散事業年度になります。
- 解散日の翌日からは、定款で決めている事業年度の区切りにあわせて、事業年度が続いていきます。
- 残余財産の確定日が清算事業年度の終了日になります。
例C:解散日から残余財産の確定の日まで1年以上かかった場合
- 事業年度:1月1日~12月31日
- 解散日:X年11月30日
- 財産の確定:X+1年12月15日
- 解散事業年度 X年1月1日〜X年11月30日
- 清算事業年度 X年12月1日〜X年12月31日
- 清算事業年度 X+1年1月1日〜X+1年12月15日
例D:解散日から残余財産の確定の日まで1年以内で終わった場合
- 事業年度:1月1日~12月31日
- 解散日:X年11月30日
- 財産の確定:X+1年2月15日
- 解散事業年度 X年1月1日〜X年11月30日
- 清算事業年度 X年12月1日〜X年12月31日
- 清算事業年度 X+1年1月1日〜X+1年2月15日
申告期限と申告回数に注意
法人の申告は、それぞれの事業年度ごとに必要です。申告期限は、事業年度が終わった日の2ヶ月後となります。
合同会社の場合、「定款で決めた事業年度の区切り」があることを見落としてしまうと、うっかり申告を忘れてしまうケースもあります。
また、解散した日と残余財産の確定日によっては、解散から残余財産が確定するまでの間に、申告回数が増えてしまうこともあります。
たとえば、先ほどの株式会社(例B)と合同会社(例D)を比べると、合同会社の方が申告回数が1回多いことになります。
そのため、解散日をいつに設定するかは、申告の手間やコストも踏まえた検討が必要です。
実際に解散を考えるときは、必要に応じて、税理士など専門家のアドバイスを受けながら、手続きを進めていきましょう。