贈与はその人の人生の物語

「世界は贈与でできている」の著者、近内悠太さんの対談をききました。
この本は昨年読んだ本で、最も心に響いた本でした。あらためて、読んだときに作ったメモを見返しました。

目次

贈与と交換

本の中で、贈与に対するものとして、交換の論理が紹介されています。
交換は、「差し出すもの」とその「見返り」が等価であるようなやり取りとりで、「割に合うか合わないか」で物事を判断する態度です。

図解にしたのが、以下の図です。

交換だけだと信頼と関係が築けない

交換の論理で紹介されているエピソードがありました。

ボストンのある消防署。消防本部長は、月曜日と金曜日に、消防士の疑わしい病気欠勤が集中していることに気づいた。
そこで彼は、有給休暇の年間上限を計15日まで設定し、上限を超えた消防士には減給を命じた。
その結果どうなかったのか。予想に反してクリスマスと元旦の病気欠勤が、前年の10倍に増加してしまった。
それに対し、消防本部長は今度はボーナスの一部の支給を取りやめることを決めた。
すると消防士たちはそれを不快に思い、前年と比べて2倍以上の病欠日を申請することで応じた。

なぜそんなことが起こったかというと、申し訳なさやうしろめたさを、金銭と交換させてしまったから。金銭を払うことで負い目をチャラにできてしまった。

このエピソードを読んだとき、働いていた職場を思い出しました。
経営者は、自分は給料払っているんだ、ということを態度と口に出していました。
経営者がそういう態度なら、働いている側も、自分が等価だと思う金銭以下でしか仕事をしないのに。そんな職場で、いい仕事をしようとは思わない。

交換だけだと、関係性、信頼は築けない。職場はまさに、そんな例でした。

贈与はその人の物語だと思う

この本を読んで、贈与について深めてみようと思ったのですが、なぜ、自分が贈与に惹かれるのかが、今日少し分かりました。
同じ贈与という言葉を使いながら、税金の贈与と違う、真逆ではないか、と思えるところも面白いところです。

贈与は、与える人の、それまで生きてきた物語なんだと思う。
与える人それぞれの物語があり、その物語にふれることができるから、私は惹かれるのかなと感じています。

【あとがき】
空き家譲渡の認定申請書を出していた市から、認定が通りこれから返送します、という連絡がありました。ひと安心です。

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